「オンラインでピアノレッスンなんて、本当にできるの?」
そう思う人もいるかもしれません。でも実は、パンデミック以前から、私の尊敬するピアニストの先生方は、シアトルから、アジアや東海岸の生徒たちとオンラインレッスンを行っていました。その影響もあり、私自身もオンラインレッスンへの抵抗はほとんどありませんでした。むしろ、「世界中どこにいてもレッスンができるなんて、素晴らしい!」と、その可能性にワクワクしていたのです。
ワシントン州でロックダウンが発令された瞬間、学校や楽器のレッスン、ヨガやダンスクラスまで、すべてがオンラインに移行しました。私のピアノ教室も例外ではなく、すぐにオンライン対応へ。マイクロソフトをはじめとするIT企業が多く集まる街だったこともあり、関係者が多く、技術的な準備もスムーズに進みました。
最初は、生徒や保護者の方々も「オンラインでちゃんとレッスンが成り立つのか?」と半信半疑でしたが、すぐに慣れ、むしろ対面レッスンにはないメリットが見えてきました。
実際にオンラインレッスンを始めてみると、思わぬ利点がたくさんありました。
まず、鍵盤の動きをより分かりやすく伝えることができるようになりました。手元がよく見えるように2台のカメラを使い、上から鍵盤を映すことで、指の動きをクリアに確認できるようになったのです。対面では生徒の視点から講師の手を正確に見るのは難しいですが、オンラインではそれが可能になります。
また、私と生徒がそれぞれのピアノを使いながらレッスンを進めるため、すぐに模範演奏を見せたり、同時に弾いたりすることで、より効率的な指導ができるようになりました。
さらに、生徒の自宅での練習環境を把握できることも大きなメリットでした。オンラインでは生徒が普段弾いている楽器でレッスンを行うため、椅子の高さや手の位置、ピアノの音質はもちろん、ペダルの感触や使い方、練習環境まで細かく確認しアドバイスができるのです。
保護者にとっても、移動の負担がなくなったことで時間を有効に使えるようになり、特に共働きの家庭や小さな子どもがいるご家庭では、オンラインレッスンの利便性を実感していただけました。忙しい親御さんたちにとっては、送迎の手間が省けるだけでなく、自宅で他の用事をこなしながらレッスンの様子を見守れるという点も大きなメリットとなっています。
「オンラインだとスピーカー越しで、音がちゃんと聴こえるのか?」と疑問に思う人は多いでしょう。確かにスピーカーの音だけに頼るのは難しいですが、生徒の手や腕の使い方を見れば、音のニュアンスを把握できます。
これは、音の出し方を研究し、生徒のタッチや動きを観察しながら指導してきた経験があるからこそ可能なこと。演奏を視覚的に分析することで、音色やタッチの改善につながる的確なアドバイスができています。
2021年の夏、アメリカの状況がなかなか改善しない中、夫の提案で日本への移住を考え始めました。最初は、「30人の生徒を残して引っ越すなんて無理!」と思っていましたが、ロックダウンを経験したことで、「オンラインがあれば、どこにいてもレッスンは続けられる」という確信が生まれていました。
生徒のことや息子の学習環境の変化を考えると、大きな決断であり、夫と何度も話し合いました。転職がすぐに決まるとは思っていませんでしたが、友人の紹介と会社のニーズが合致し、驚くほどスムーズに決定。運命に逆らわず、日本移住を決めました。
11月には生徒たちに引越しを伝えましたが、結果的に半数以上の生徒がオンラインでレッスンを続けることを選んでくれました。そのおかげで、2021年2月、日本に移住して1ヶ月後には、すぐにレッスンを再開。日本にいながら、アメリカの生徒とも変わらずレッスンを続けることができ、「オンラインレッスンの可能性は本当にすごい」と改めて実感しました。
「オンラインだと、本当に上達できるの?」と不安に思う方もいるかもしれません。でも、実際にやってみると、想像以上に便利で、対面にはないメリットもたくさんあります。実際にオンラインレッスンを続けた生徒の中には、賞を受賞した例もあり、しっかりと成果を上げることができます。
遠方に住んでいるからといって、レッスンの機会を諦める必要はありません。自宅にいながら、自分のピアノでレッスンを受けられることは、学びの質を向上させる大きなポイントです。
また、指の動きを細かく確認できる環境や、レッスンの効率の良さは、オンラインだからこそ実現できるもの。音の響きやタッチについても、視覚的な分析を活かして的確なアドバイスが可能です。
世界中どこにいても、ピアノが学べる時代。あなたも、オンラインレッスンで新しい可能性を試してみませんか?
大人になってからピアノを始める魅力 大人になってから何かを始めるのは、勇気がいることです。特にピアノのような楽器は「子どもの頃から習っていないと上達しにくいのでは?」と不安に思うかもしれません。けれど、ピアノは何歳からでも楽しめる楽器であり、大人だからこそ得られるメリットもたくさんあります。「やってみたい」という気持ちを大切に、一歩を踏み出してみませんか? 今まで教えてきた大人の生徒さんたち 大人になってからピアノを始める方には、それぞれのきっかけやペースがあります。長年の夢を叶えるために始める方もいれば、お子さんの成長をきっかけに再び鍵盤に向かう方もいます。実際に、これまで教えてきた大人の生徒さんの中には、老後の楽しみとして40代から始めた方や、お子さんがレッスンを受けるのを見て通い始めた保護者の方も多くいらっしゃいました。その中には、中学・高校まで習っていたけれど、もう一度挑戦したいと考えた方も少なくありません。お子さんが成長してお教室を辞めた後も、ご自身の楽しみとして続ける方もおり、皆さんそれぞれの形でピアノを楽しんでいます。 大人だからこそ、理解が深まり上達が早い 子どもがピアノを習う場合、先生の指示を真似しながら感覚的に学ぶことが多いですが、大人は論理的に物事を考える力があります。「なぜこの指使いなのか」「このフレーズをどのように表現するとより美しく響くのか」など、楽譜の意味を理解しながら進められるため、基礎をしっかり築きながら演奏を深めることができます。また、大人は時間を有効に使う術を知っているため、短時間でも効率よく練習し、確実に上達していくことが可能です。 自分のペースで学べる、無理なく続けられる 大人のピアノレッスンは、柔軟なスケジュールで進められます。仕事や家庭の都合に合わせてレッスンの頻度を決められるので、「忙しくて続けられないのでは?」という心配も不要です。実際に私がアメリカでレッスンさせていただいた大人の生徒さんの多くは、隔週で細く長く続けられる方が多かったです。 また、大人のレッスンでは、レベルに応じて取り組む曲を相談しながら決められるのも魅力です。「この曲を弾けるようになりたい!」という目標があれば、練習のモチベーションも自然と高まります。 ピアノは脳の活性化にも効果的 ピアノを弾くことは、脳にとって非常に良いトレーニングになります。指先を動かすことで、脳の運動をつかさどる部分や感覚をコントロールする領域が活性化され、脳全体が刺激されます。特に、両手で異なる動きをすることで脳がバランスよく働き、思考力や記憶力の向上が期待できます。 さらに、大人になってからの習い事は「脳のアンチエイジング」にも効果的です。ピアノを続けることで、集中力や判断力が鍛えられ、認知機能の低下を防ぐことができます。音楽を楽しみながら、脳を活性化することが期待できるのは大きな魅力のひとつです。 日常のストレスを和らげ、心を豊かにする ピアノの音色には、リラックス効果があります。忙しい日常の中で、ピアノを弾くことで心を落ち着け、ストレスを和らげることができます。 また、音楽を通じて自己表現ができることも大きな魅力です。「仕事とは別の世界を持つことで、人生がより充実した」と感じる大人の生徒さんも多くいらっしゃいます。…
スタッカート奏法──「はねる」ではなく「短く」弾く ピアノを習っていると必ず出てくる「スタッカート」。多くの生徒さんが「スタッカート=はねる」と理解してしまいがちです。しかし、実際は「はねる」のではなく、「音を短くする」意味です。では、どうすれば美しく効果的なスタッカートが弾けるのでしょうか? 今日はスタッカート奏法について詳しく解説します。 スタッカートの本当の意味 スタッカート(staccato)は、イタリア語で「切り離す」という意味を持ちます。これは「音と音の間に隙間を作る」奏法であり、音を短くすることが目的です。 よく「はねる」と表現されることがありますが、それが誤解のもとになりがちです。むやみに手を跳ね上げると、音が雑になったり、テンポが乱れたりすることがあります。大切なのは、「次の音へのつなぎを意識しながら、音を短く切る」ことです。 スタッカートにはさまざまな種類がありますが、私自身、今でも苦手に感じるものがあり、練習が必要だと感じることがあります。 スタッカートの練習方法 まずはレガートで弾く スタッカートの前に、そのフレーズを レガート で弾いてみましょう。なぜなら、レガートで弾くことで メロディーラインをしっかり把握できる からです。 まず、スタッカートをつけずに、なめらかに弾く。 そのフレーズがどのように流れるのかを耳で確認する。 音楽的な方向性を考えながら、レガートでの演奏を完成させる。 このプロセスを飛ばしてしまうと、スタッカートをつけた時に フレーズの流れがぎこちなくなる ことがあるので要注意です。 レガートの感覚を残しながらスタッカート…
ピアノを始めるなら、最初の基礎をプロの先生に習うことをおすすめします。特に、姿勢や手の形は、アルペッジョやスケール、音色作りなどの基礎となり、上達に欠かせない重要な要素です。
アメリカでの学生時代からスタジオを立ち上げるまでの経緯、そして成長に至るまでの過程を、いくつかの記事に分けてご紹介したいと思います。学生時代の自由な暮らしやバイトの話しなどもしています。この経験がどなたかの参考や励みになれば幸いです。
田園都市線「たまプラーザ駅」から徒歩17分、あざみ野行きのバスを使うと往復の坂道も楽です。「あざみ野駅」からは徒歩20分、こちらもバスをお使いになる事をおすすめします。