アメリカで23年過ごした結果のTOEICと英検

ピアノスタジオのウェブサイトですが、せっかくなので、たまには英語のことについても触れてみたいと思います。自分のアメリカでの日々を振り返ってみて、英語が上達したきっかけなど考えてみました。

23年間アメリカで過ごし、日本に帰国して最初の年にTOEICを受けてみました。次の年に、当時小学校5年生だった息子と一緒に英検準一級を受けました。お恥ずかしながら両方とも試験日程等間違えてしまい、ノー勉チャレンジでした。結果的に、TOEICは880点(990点中)、そして準一級は私と息子とも合格。TOEICのListening問題に関しては、日常会話にはありえない非常にトリッキーな出題方法だったので、傾向を調べておけば900点以上はいけた感じがします(負け惜しみ!)。

英語で夢を見始めたのは渡米して3年ほど経ってから。その頃から英語で考えることが多くなりました。やっと英語が話せると言えるようになったのは5年程経ってから。いつからか、もしも子供をアメリカで育てるのであれば、その頃までに英語で教育できるくらい上達しなければと、変なマイルールまで作ってしまいました。

英語は一番下のクラス

中学の英語の成績は、まあまあでした。筆記体の練習を頑張ったので、そればかり上手になりました。しかし、高校に入ってやる気をなくしてしまい、英語も一番下のクラス。気楽に勉強していました。

私は海軍基地がある横須賀で育ったのですが、高校入学後は、軍関係のご家族に個人レッスンをお願いしていました。そこで教わった「Idioms(慣用句)」は、渡米後もその重要性を痛感することが度々ありました。覚えれば覚えるほど日常生活から学校生活まで楽に過ごせるようになります。

大学に進学すると、英語のレッスンを一緒に受講する友達ができレッスンもより楽しく。一緒にいると楽しい友人でモチベーションも上がり、その頃から英語が上達し、少しずつ自信をつけることができました。その友人とは洋楽と洋画の趣味がぴったりで、今思えば情報交換からお互いの向上心を高めていた気がします。勉強を共にするのに完璧なパートナーだったと思います。

先生はMadonna姐さん

英語で話す時、文法が完璧な文章で正確に話していても、発音とリズムがあやふやだと相手に伝わらない事もあります。アメリカンロック、ヒップホップ、ジャズ、ポップスなどの音楽を考えてみてください。ノリが良く、フローがあるでしょう?話す時もそのフローを掴むとパーっと言えてしまうのです。言葉も音楽も、大切なのはFlow(流れ)です!

ネイティブスピーカーも常に文法に完璧ではないし、話す言葉はかなり簡潔でノリで言葉を交わすことも多いです。この前見てとても面白かった動画は、ニューヨーカーの”You good?”で何でも事が済んでしまうと言うもの。面白おかしく見ていましたが、本当に英語にはそういうノリで話すことがよくあるのです。他にも、例えば”I did well.”と文法上はそれが正確ですが、多くのアメリカ人は”I did good.”や”You did good.”と言います。勿論、カジュアルな会話でよくあるやり取りですが、常に文法通りが会話ではないのは、日本語と同じです。

参考書での勉強以外で私がおすすめするのは、歌や映画を聴きながら真似することです。要するにシャドウイングです。中学1年生の頃にマドンナの音楽にハマってから、彼女の歌のほとんどをカラオケで披露できるほどコアなファンとなりました。どうしてもマドンナと一緒に歌いたくて、一生懸命練習をする日々(ピアノはどうした笑)を送りましたが、そんな事をしているうちに、発音だけは良くなりました。マドンナ姐さん仕込みです。

24/7

いつの間にかよく話すようになっていたのですが、いつから?と振り返ると、学校という存在が大きいです。大学院では、ネイティブスピーカーと肩を並べて授業を受け、楽器や歌手とのリハーサルをリードしたり、レッスンでは先生方の要望を理解し即直しますし、TAとしても仕事をしていたので、当時の自分が持っている以上の英語力が必要となりました。ペーパーも10枚以上、プレゼンテーションも10分から30分と、当時経験のなかった私は最初は苦戦しましたが、その過程で鍛えられ、結果的に英語力向上に繋がりました。当時は日本人の友人が限られていて、今のように日本帰国も定期的ではなかったので、ほぼ一年中英語で考え行動していたのも大きかったです。

英語上達には、何よりも話すことが大事です。アメリカはさまざまな人種が同じ社会で暮らしており、皆がネイティブではありません。彼らと話すと、正確な英語であることよりも、思いが的確に伝わることの大切さを痛感します。「人と話す」ことで生きた表現を会得していくのが一番の近道です。

もう一つ、自分の興味分野に関する本や記事を、英語でたくさん読むことをおすすめします。私の場合は医療関係ですが、知りたいことを読み漁るうちに、病院でナースや医師と会話する際にも問題ない医療英語の知識が身につきました。美容や料理は雑誌で今流行りの言葉を吸収しながら楽しんで学べるし、政治が好きなら、アメリカ人は政治への関心が高いので、日本との違いがよくわかって興味深いです。でもあまり政治の話をするのはオススメしませんが・・・。こうして様々な分野の情報を読みこなすことで、言葉だけでなく、日本とアメリカ両方の視点を知ることができます。勿論、英語の自然な流れが頭に入ってくるので、話したり書いたりする時に大いに役立ちます。

脱、You Speak Good English!

英語上達の目安として、ネイティブの人との会話中、”You speak good English!”と言われなくなったらしめたもの。それは英語を話せて当たり前で、違和感がない証拠だと思っています。後から気づいたことですが、いつの間にか「英語が上手だね」と言われなくなっている事に気づきました。考えてみると、そう言われなくなった頃から、英語脳になっていた気がします。

生活面からすると、TOEICで高いスコアを目指すことをおすすめします。試験問題は、新聞の広告やEmail、コンフェレンスの招待状など、アメリカ生活アルアルなシチュエーションをもとに出題されます。英検の場合、準一級があれば生活するのには十分です。現地校だと小学校5年生までのレベルです。実用的な場面で使える英語が多く、問題なく生活を始められそうです。

私にとって、言語と音楽は共に一生涯の学びです。私のスキルはこれまで出会った多くの知識豊かで才能ある先生方や友人たちと比べると、天と地の差があります。いつも思うのは、知識があり、教養のある人々はどの言語を話しても簡潔で、わかりやすく、相手に伝わる話し方ができるのです。私はそこに欠けています。見てください、このブログの長さ笑。

まとめ:楽しむしかない!

こんな風にして、一番下のクラスから這い上がってきたのですが、マドンナと一緒に歌ったり、大好きなお友達とレッスン受けたり、好きな分野の事を読み漁ったりと、楽しいことばかりして英語を学んできました。なので、私の一番のアドバイスは「楽しむ!」です。やはり、長く続け、上達するには楽しむしかないのです。行き詰まっても、恥をかいても、乗り越えられるのは、楽しいエネルギーがあるから。

もちろん、大学院時代は悔しい思いもしました。でも、「楽しい!」があると、大抵のことは乗り切れると経験上思っています。何よりも、英語の学習が考え方や視野を広げる助けとなっているのは仕事や子育てをするのにも役に立っています。皆さんにも素晴らしい学びと成果が訪れることを心より願っています!


rieando

はじめまして、安東理恵です。 桐朋学園大学を卒業後、90年代に渡米。2021年に帰国。現在もリモートでアメリカ在住の生徒たちを教えています。 email: rieandopiano@gmail.com