大人になってからピアノを始める魅力 大人になってから何かを始めるのは、勇気がいることです。特にピアノのような楽器は「子どもの頃から習っていないと上達しにくいのでは?」と不安に思うかもしれません。けれど、ピアノは何歳からでも楽しめる楽器であり、大人だからこそ得られるメリットもたくさんあります。「やってみたい」という気持ちを大切に、一歩を踏み出してみませんか? 今まで教えてきた大人の生徒さんたち 大人になってからピアノを始める方には、それぞれのきっかけやペースがあります。長年の夢を叶えるために始める方もいれば、お子さんの成長をきっかけに再び鍵盤に向かう方もいます。実際に、これまで教えてきた大人の生徒さんの中には、老後の楽しみとして40代から始めた方や、お子さんがレッスンを受けるのを見て通い始めた保護者の方も多くいらっしゃいました。その中には、中学・高校まで習っていたけれど、もう一度挑戦したいと考えた方も少なくありません。お子さんが成長してお教室を辞めた後も、ご自身の楽しみとして続ける方もおり、皆さんそれぞれの形でピアノを楽しんでいます。 大人だからこそ、理解が深まり上達が早い 子どもがピアノを習う場合、先生の指示を真似しながら感覚的に学ぶことが多いですが、大人は論理的に物事を考える力があります。「なぜこの指使いなのか」「このフレーズをどのように表現するとより美しく響くのか」など、楽譜の意味を理解しながら進められるため、基礎をしっかり築きながら演奏を深めることができます。また、大人は時間を有効に使う術を知っているため、短時間でも効率よく練習し、確実に上達していくことが可能です。 自分のペースで学べる、無理なく続けられる 大人のピアノレッスンは、柔軟なスケジュールで進められます。仕事や家庭の都合に合わせてレッスンの頻度を決められるので、「忙しくて続けられないのでは?」という心配も不要です。実際に私がアメリカでレッスンさせていただいた大人の生徒さんの多くは、隔週で細く長く続けられる方が多かったです。 また、大人のレッスンでは、レベルに応じて取り組む曲を相談しながら決められるのも魅力です。「この曲を弾けるようになりたい!」という目標があれば、練習のモチベーションも自然と高まります。 ピアノは脳の活性化にも効果的 ピアノを弾くことは、脳にとって非常に良いトレーニングになります。指先を動かすことで、脳の運動をつかさどる部分や感覚をコントロールする領域が活性化され、脳全体が刺激されます。特に、両手で異なる動きをすることで脳がバランスよく働き、思考力や記憶力の向上が期待できます。 さらに、大人になってからの習い事は「脳のアンチエイジング」にも効果的です。ピアノを続けることで、集中力や判断力が鍛えられ、認知機能の低下を防ぐことができます。音楽を楽しみながら、脳を活性化することが期待できるのは大きな魅力のひとつです。 日常のストレスを和らげ、心を豊かにする ピアノの音色には、リラックス効果があります。忙しい日常の中で、ピアノを弾くことで心を落ち着け、ストレスを和らげることができます。 また、音楽を通じて自己表現ができることも大きな魅力です。「仕事とは別の世界を持つことで、人生がより充実した」と感じる大人の生徒さんも多くいらっしゃいます。 先生と対話しながら、納得のいくレッスンができる 大人のレッスンは、先生との対話を重ねながら進められるのが特徴です。受け身で学ぶのではなく、疑問に思ったことを質問しながら納得して学ぶことができ、理解が深まります。 生徒さんそれぞれの人生経験を通じて、私自身も多くの気づきを得ることができ、その経験が初心を忘れず、常に向上心を持ち続ける力となっています。音楽に対する捉え方や表現方法の新しい視点を学ぶことができるのは、講師としてありがたい気持ちでいっぱいです。 ピアノは何歳からでも始められる! 「大人になってから始めても上達できる?」と不安に思う方もいるかもしれませんが、ピアノに年齢制限はありません。実際に、大人になってからピアノを始め、素晴らしい演奏を楽しんでいる人はたくさんいます。…
スタッカート奏法──「はねる」ではなく「短く」弾く ピアノを習っていると必ず出てくる「スタッカート」。多くの生徒さんが「スタッカート=はねる」と理解してしまいがちです。しかし、実際は「はねる」のではなく、「音を短くする」意味です。では、どうすれば美しく効果的なスタッカートが弾けるのでしょうか? 今日はスタッカート奏法について詳しく解説します。 スタッカートの本当の意味 スタッカート(staccato)は、イタリア語で「切り離す」という意味を持ちます。これは「音と音の間に隙間を作る」奏法であり、音を短くすることが目的です。 よく「はねる」と表現されることがありますが、それが誤解のもとになりがちです。むやみに手を跳ね上げると、音が雑になったり、テンポが乱れたりすることがあります。大切なのは、「次の音へのつなぎを意識しながら、音を短く切る」ことです。 スタッカートにはさまざまな種類がありますが、私自身、今でも苦手に感じるものがあり、練習が必要だと感じることがあります。 スタッカートの練習方法 まずはレガートで弾く スタッカートの前に、そのフレーズを レガート で弾いてみましょう。なぜなら、レガートで弾くことで メロディーラインをしっかり把握できる からです。 まず、スタッカートをつけずに、なめらかに弾く。 そのフレーズがどのように流れるのかを耳で確認する。 音楽的な方向性を考えながら、レガートでの演奏を完成させる。 このプロセスを飛ばしてしまうと、スタッカートをつけた時に フレーズの流れがぎこちなくなる ことがあるので要注意です。 レガートの感覚を残しながらスタッカート 次に、レガートで弾いたのと 同じフレーズ感を保ったまま スタッカートに変えていきます。 音の長さを短くするだけで、フレーズ全体の流れはレガートの時と同じように保つ。 ただ切るのではなく、 音楽的なつながり を意識する。 指先を意識しながら、軽やかに鍵盤から指を離す。 この練習によって、スタッカートが単なる「短い音」ではなく、 フレーズの一部として自然に響く ようになります。この方法に慣れると、フレーズをスタッカートで弾くことへの違和感がなくなり、音楽的な表現の幅が広がります。…
ピアノを勉強する生徒さんであれば、左手の重要さはレッスン中に先生から頻繁に聞くことの一つだと思います。私もそれを言う講師の一人で、生徒さんには左手の練習方法やどれだけ重要かと言うことを口を酸っぱくしてお伝えしています。生徒さん側からしたら、頭ではわかっていても、中々うまくコントロールできない事が多いです。左手と右手の力加減のバランスが取れなかったり、それ以上に演奏中左手がどれだけ脱力しなければいけないのか加減が難しいのだと思います。私もかつてはそうでした。さて、今回は左手が伴奏の場合の力加減や練習方法などのお話です。
レッスン中部分練習をする場面で、「もっとゆっくり!」という経験ありませんか?ゆっくり?弾いてますよ!こんなにゆっくり!と思っているのに、一体どれだけゆっくりすればいいの?と、言うことで、今回は「ゆっくり練習」について書いてみたいと思います。
私が子供だった昭和50年代は、厳しい訓練と罵倒に耐えるスポ根アニメの再放送をテレビで観て、現実世界でも「スパルタ教育」なんて言葉をよく聞いたものです。音楽界でも、どこかまだ昔の厳格な雰囲気を引き摺っていました。
大学生の頃に初めて生徒さんを教える経験をしたのは、桐朋の弦楽器専攻で受験した地元の後輩の副科ピアノと、近所のお子さんたちでした。その頃はまだ経験が浅く、特に小さなお子さんを教える方法については不安もありました。若くて20歳になったばかりの学生でしたので、今とは全く違うレッスンだったと思います。