練習してもしても上手くいかないことはあります!こんなに努力してるのに、こんなに長時間練習してるのに、なぜ上達しないのだ〜〜!と部屋から飛び出したくなることもあります!
でもその原因が、「頑張り過ぎ」ってことはありませんか?どんなに頑張っても変わらない時、行き詰まった時、ちょっとお休みしてみるのも大切だと思います。今回は、そんな疲れた時の対処法を自らの体験をもとにお話ししてみたいと思います。
このブログを始めて、小学生の頃のレッスンの思い出がたくさん蘇ってきました。私にとってあの一番辛い時期、中学に入って親友と妹を亡くした絶望が襲ってくるまで演奏が大好きだったし、レッスンは厳しかったけれどもたくさんのことを吸収した年月だったと思います。
確か小学4年の頃だったと思います。当時はモーツァルトやハイドンのソナタやヴァリエーションを多く勉強していましたが、何か途中で引っかかって上手に弾けない時だったのでしょう。先生のおっしゃることもスムーズに消化出来ず、同じところに留まっている時期がしばらく続きました。
あるレッスンで先生が一言「一週間あまり練習しないでいいから、ちょっと休んで次回また持ってきて」のようなことをおっしゃいました。私は小学生ながらにその言葉に衝撃と不安を覚えました。練習しないでレッスンに行く?せ、先生・・・どうなっても・・・責任取れませんよ、私。・・・怒らないでくださいね(←これが一番言いたい笑)。
「一週間練習せずレッスン」なんて、あまりにも衝撃的すぎて動揺したのを覚えています。それから一週間、後ろめたさを感じながらも先生に言われた通りにして過ごしました。完全に練習なしではなく、ソナタかソナチネか、エチュードと曲以外の作品以外は数回通した位の記憶があります。
思えば幼い頃から練習の毎日。お友達とも遊ばず、テレビも見ないので流行りの曲もアイドルもドラマも知らない。今でも思い出して笑ってしまうのは、ある時期からクラスのみんなが「ヒカルゲンジ」の話をしていた時のこと。こんな子供なのにもう「源氏物語」を読んでいる!と焦って図書館で借りて、あまりの文字の多さと意味のわからない日本語に嘆きました。ピアノばかり練習しているから完全に出遅れている!と。「小学校高学年ともなると、塾に行っている子達は源氏物語なんて勉強してるのか?塾ってすごい!」そして勇気を振り絞って「光源氏って源氏物語の?」と聞いたら、「アイドルグループだよ!」と言われ、借りていた「源氏物語」は速攻で返却しました。
さて、夜の時間はほぼ練習だったはずなのに、その一週間はなんだか不思議な感じでした。あまり練習しなくても怒られない。むしろ「控える」ように言われているのですから。
まあ、内心は嬉しかったわけですが(咳払い)、先生の厳しさを十二分知っていますから、レッスンに戻るのが怖かったのは否定できません。練習しなさすぎて弾けなくなっていて先生が激おこになったらどうしよう・・・「心配事の9割は起こらない」ことを知らず、考えられるだけの不安を胸にレッスンに挑みました。
「やっぱり良くなった。」と、演奏を聴いた先生が仰いました。今でこそ、バランスと言うものや頑張りすぎで空回りしているのがわかりますが、当時は頭の中が「???」になっていました。でも、明らかに演奏が変わっていたのだと思います。考えすぎなくなったとか、リラックスしてもっと滑らかになったとか、余計な力が抜けた、そんな風だったのだと思います。
あの衝撃のレッスンでの一言を意識したのは大人になってからでした。それからは、本番のために準備している時も、あまり追い詰めすぎるとピアノなしの日を作るようになりました。でもね、休んでいる時間をマックスに良い方向に向かせるためには、やはりタイミングがあると思うのです。そのタイミングを考えてみましょう。
休みを取った時を振り返ると、毎日朝から晩まで曲のことしか考えられず、暇があればピアノに触ろうとして、寝ている時には夢に先生が出てきてレッスンで怒られると言うかなり追い詰められた状態。そんな、ここで休むのは気が引けるという時に無理矢理休むようにしていました。さすがに前記した体験のように一週間まで休むことはありませんが、一日は完全に休んで全くピアノと違うことをして、また次の日から練習と言うのがベストです。
譜読み中は進んでは一歩下がっての繰り返しですから、譜読みを何時間も掛けて一生懸命して肩や首がゴリゴリになっても、ここであまり大々的に休むとせっかくの努力が水の泡となってしまう可能性があります。お仕事やお友達と会うなんかで一日くらい練習出来ない日を作ってあげて、頭をリフレッシュするのは良いと思います。その方が次の練習で手こずっていた場所がすんなり弾けてしまうなんてことはよくあります。
例えば本番まで余裕がある場合は、譜読みも終わって暗譜もして、大分曲に慣れた頃も休むのに良いタイミングです。弾き慣れてくると、まとめたい方向性も決まっています。けれども、音楽的に視野が狭くなる傾向にあるので、英語で言うとmake room for something newと言う感じで、休んで心に余裕を作ってあげるのが効果的です。集中しすぎて周りが見えなくなるのは勿体ないです。
伴奏の仕事では、本番が数日後だったり、一ヶ月後までにフルプログラムが求められることもあります。以前、3週間でメンデルスゾーンのチェロソナタ第2番を中心としたコンサートの依頼が来た時は、一分一秒も無駄にできないほど切羽詰まって練習したのは今では良い思い出です。こんな急な本番依頼の時は悠長なことを言っていられないかも知れませんが、少し時間に余裕がある場合、どれだけ練習を重ねても思ったように進まないのであれば、一旦お休みのタイミングかも知れません。
ポーランドの音楽祭に参加した時、将来はジャズに進みたいと言うある男子がいました。彼とは2年連続で同じ音楽祭に参加しましたが、いつ会ってもクールで余裕たっぷり。年下でしたが、そんな様子をとても羨ましく思いました。一度みんなで集まって、先生と練習時間についてディスカッションする場があったのですが、私も含めた殆どの生徒は「練習はすればするほどいい」と答えました。でも彼だけ「3時間で十分さ。そんなやったからって良くなるわけでもない。」とクールに言い放ったのです!
彼は良いピアニストでした。彼の言動を反映するように、何も恐れることなく、いつも安定した演奏をしていました。でも、その彼が練習時間はそんなになくても良いと言っていて、なんとなくガーンと頭をハンマーで殴られたような気になったのです。彼だって、練習時間がいつも3時間だったわけではないと思います。それなりの練習はこなしていたはずです。ただ、頑張り過ぎないポイントを自然と身につけていたのだと思います。頑張り過ぎて何時間も練習するのは逆効果という事です。
心の余裕、体の余裕、良い演奏をするには、練習ばかりしているのではなく、たまには自分を解放してあげるのが吉。昭和の皆様にお馴染み、一休さんマインドで行きましょう。一休さんも言っていました。
慌てない慌てない、一休み一休み。
田園都市線「たまプラーザ駅」から徒歩17分、あざみ野行きのバスを使うと往復の坂道も楽です。「あざみ野駅」からは徒歩20分、こちらもバスをお使いになる事をおすすめします。
ピアノを勉強する生徒さんであれば、左手の重要さはレッスン中に先生から頻繁に聞くことの一つだと思います。私もそれを言う講師の一人で、生徒さんには左手の練習方法やどれだけ重要かと言うことを口を酸っぱくしてお伝えしています。生徒さん側からしたら、頭ではわかっていても、中々うまくコントロールできない事が多いです。左手と右手の力加減のバランスが取れなかったり、それ以上に演奏中左手がどれだけ脱力しなければいけないのか加減が難しいのだと思います。私もかつてはそうでした。さて、今回は左手が伴奏の場合の力加減や練習方法などのお話です。
レッスン中部分練習をする場面で、「もっとゆっくり!」という経験ありませんか?ゆっくり?弾いてますよ!こんなにゆっくり!と思っているのに、一体どれだけゆっくりすればいいの?と、言うことで、今回は「ゆっくり練習」について書いてみたいと思います。