練習してもしても上手くいかないこと、ありませんか?「こんなに努力してるのに、こんなに長時間練習してるのに、なぜ上達しないのだ〜!」と、思わず叫びたくなることもあるかもしれません。
でも、その原因が「練習のしすぎ」や視野が狭くなっていること、あるいは頑張りすぎて空回りしていることかもしれないと考えたことはありますか?
どんなに頑張っても変わらないとき、思うように進まないとき、少しお休みをしてみるのも大切です。今回は、練習に疲れたときや行き詰まったときの対処法について、自分の経験をもとにお話ししたいと思います。
小学生の頃のレッスンを振り返ると、演奏が大好きだったあの時間が思い出されます。レッスンは厳しかったものの、多くのことを吸収できた貴重な年月でした。
確か小学4年生の頃だったと思います。モーツァルトかハイドンのソナタを練習していたのですが、どうしてもうまく弾けず、同じ部分でつまずき続けていました。先生のアドバイスを理解しても、思うように消化できない時期が続いていたのです。
そんなとき、先生がふと「一週間、あまり練習しないで」とおっしゃいました。
当時の私にとって、それは衝撃の一言でした。「練習しないでレッスンに行く?先生、それはさすがに…大丈夫なんですか?」と、半ばパニック状態でした。
言われた通りに、ソナタやエチュードの練習をほぼせずに過ごした一週間。罪悪感を抱えながらも、テレビを見たりして過ごしました。普段そんな風に夜を過ごしたことがなかったので、ちょっとワクワクする気持ちもありました。これが普通の生活なのか、と感じると同時に、少し羨ましさも混じった複雑な気持ちでした。
それまで、夜の時間はほぼ練習に費やしていたので、この「練習しなくていい一週間」は、何とも言えない不思議な感覚でした。嬉しいような、でもレッスンに戻るのが怖いような…。
そして迎えたレッスンの日。
恐る恐るピアノの前に座り、いつものソナタを弾き始めました。先生は演奏をじっと聴き終えると、一言。
「やっぱり、良くなった。」
自分では実感がなかったのですが、演奏が変わっていたのです。きっと、余計な力が抜け、考えすぎずに弾けるようになったのでしょう。休むことで、頭の中が整理され、スムーズに指が動くようになったのかもしれません。
この経験を大人になってからも思い出し、本番前に追い詰められすぎたときは意識的に「ピアノなしの日」を作るようになりました。
しかし、ただ休めばいいわけではありません。休むことで効果が出やすいタイミングを考えることが大切です。
このようなタイミングで、思い切って一日ピアノから離れてみると、次の日に驚くほどスムーズに弾けることがあります。
練習を積み重ねると、音楽的な方向性が固まり、より深く表現できるようになります。しかし、集中しすぎるあまり、逆に視野が狭くなることも。
そんなとき、あえて休むことで心に余裕を作ることができます。たとえば、一度ピアノを離れて他の音楽を聴いたり、美術館に行ったり、お友達と会って楽しく過ごしたり、全く違うことをすることで、気持ちがリフレッシュされ、新たな可能性が広がるかもしれません。
ポーランドの音楽祭で、先生たちと生徒たちが練習時間についてディスカッションする時間がありました。ほとんどの生徒が「練習はすればするほどいい」と答えましたが、ある男子学生だけは「3時間で十分。それ以上やっても大して変わらない」と言いました。彼の演奏は素晴らしく、余裕のある音楽を奏でていました。彼が「3時間で十分」と言ったのは、練習をしないわけではなく、「無駄に長時間やるより、集中して質の高い練習をした方が良い」と理解していたからでしょう。
音楽を学ぶ上で、努力と継続はもちろん大切です。でも、練習すればするほど良い演奏ができるわけではありません。心と体のバランスをとりながら、時には「一休み」する勇気を持ちましょう。
昭和世代にはおなじみの「一休さん」の言葉を借りるならば…
「慌てない慌てない、一休み一休み。」
大人になってからピアノを始める魅力 大人になってから何かを始めるのは、勇気がいることです。特にピアノのような楽器は「子どもの頃から習っていないと上達しにくいのでは?」と不安に思うかもしれません。けれど、ピアノは何歳からでも楽しめる楽器であり、大人だからこそ得られるメリットもたくさんあります。「やってみたい」という気持ちを大切に、一歩を踏み出してみませんか? 今まで教えてきた大人の生徒さんたち 大人になってからピアノを始める方には、それぞれのきっかけやペースがあります。長年の夢を叶えるために始める方もいれば、お子さんの成長をきっかけに再び鍵盤に向かう方もいます。実際に、これまで教えてきた大人の生徒さんの中には、老後の楽しみとして40代から始めた方や、お子さんがレッスンを受けるのを見て通い始めた保護者の方も多くいらっしゃいました。その中には、中学・高校まで習っていたけれど、もう一度挑戦したいと考えた方も少なくありません。お子さんが成長してお教室を辞めた後も、ご自身の楽しみとして続ける方もおり、皆さんそれぞれの形でピアノを楽しんでいます。 大人だからこそ、理解が深まり上達が早い 子どもがピアノを習う場合、先生の指示を真似しながら感覚的に学ぶことが多いですが、大人は論理的に物事を考える力があります。「なぜこの指使いなのか」「このフレーズをどのように表現するとより美しく響くのか」など、楽譜の意味を理解しながら進められるため、基礎をしっかり築きながら演奏を深めることができます。また、大人は時間を有効に使う術を知っているため、短時間でも効率よく練習し、確実に上達していくことが可能です。 自分のペースで学べる、無理なく続けられる 大人のピアノレッスンは、柔軟なスケジュールで進められます。仕事や家庭の都合に合わせてレッスンの頻度を決められるので、「忙しくて続けられないのでは?」という心配も不要です。実際に私がアメリカでレッスンさせていただいた大人の生徒さんの多くは、隔週で細く長く続けられる方が多かったです。 また、大人のレッスンでは、レベルに応じて取り組む曲を相談しながら決められるのも魅力です。「この曲を弾けるようになりたい!」という目標があれば、練習のモチベーションも自然と高まります。 ピアノは脳の活性化にも効果的 ピアノを弾くことは、脳にとって非常に良いトレーニングになります。指先を動かすことで、脳の運動をつかさどる部分や感覚をコントロールする領域が活性化され、脳全体が刺激されます。特に、両手で異なる動きをすることで脳がバランスよく働き、思考力や記憶力の向上が期待できます。 さらに、大人になってからの習い事は「脳のアンチエイジング」にも効果的です。ピアノを続けることで、集中力や判断力が鍛えられ、認知機能の低下を防ぐことができます。音楽を楽しみながら、脳を活性化することが期待できるのは大きな魅力のひとつです。 日常のストレスを和らげ、心を豊かにする ピアノの音色には、リラックス効果があります。忙しい日常の中で、ピアノを弾くことで心を落ち着け、ストレスを和らげることができます。 また、音楽を通じて自己表現ができることも大きな魅力です。「仕事とは別の世界を持つことで、人生がより充実した」と感じる大人の生徒さんも多くいらっしゃいます。…
スタッカート奏法──「はねる」ではなく「短く」弾く ピアノを習っていると必ず出てくる「スタッカート」。多くの生徒さんが「スタッカート=はねる」と理解してしまいがちです。しかし、実際は「はねる」のではなく、「音を短くする」意味です。では、どうすれば美しく効果的なスタッカートが弾けるのでしょうか? 今日はスタッカート奏法について詳しく解説します。 スタッカートの本当の意味 スタッカート(staccato)は、イタリア語で「切り離す」という意味を持ちます。これは「音と音の間に隙間を作る」奏法であり、音を短くすることが目的です。 よく「はねる」と表現されることがありますが、それが誤解のもとになりがちです。むやみに手を跳ね上げると、音が雑になったり、テンポが乱れたりすることがあります。大切なのは、「次の音へのつなぎを意識しながら、音を短く切る」ことです。 スタッカートにはさまざまな種類がありますが、私自身、今でも苦手に感じるものがあり、練習が必要だと感じることがあります。 スタッカートの練習方法 まずはレガートで弾く スタッカートの前に、そのフレーズを レガート で弾いてみましょう。なぜなら、レガートで弾くことで メロディーラインをしっかり把握できる からです。 まず、スタッカートをつけずに、なめらかに弾く。 そのフレーズがどのように流れるのかを耳で確認する。 音楽的な方向性を考えながら、レガートでの演奏を完成させる。 このプロセスを飛ばしてしまうと、スタッカートをつけた時に フレーズの流れがぎこちなくなる ことがあるので要注意です。 レガートの感覚を残しながらスタッカート…
ピアノを始めるなら、最初の基礎をプロの先生に習うことをおすすめします。特に、姿勢や手の形は、アルペッジョやスケール、音色作りなどの基礎となり、上達に欠かせない重要な要素です。
アメリカでの学生時代からスタジオを立ち上げるまでの経緯、そして成長に至るまでの過程を、いくつかの記事に分けてご紹介したいと思います。学生時代の自由な暮らしやバイトの話しなどもしています。この経験がどなたかの参考や励みになれば幸いです。
田園都市線「たまプラーザ駅」から徒歩17分、あざみ野行きのバスを使うと往復の坂道も楽です。「あざみ野駅」からは徒歩20分、こちらもバスをお使いになる事をおすすめします。